戦争映画「野火」塚本晋也監督のあらすじネタバレ~ラストと感想

塚本晋也監督の映画「野火」のあらすじネタバレと感想を紹介します。

戦争のリアルは「生きるか死ぬか」だけでなく、「食うか食われるか」の地獄。

グロいシーンも多くありますが、今までの戦争映画では描かれなかった真実がそこにあります。

おすすめ度は★★★★☆!

映画「野火」の作品情報

≪公開≫
2014年(日本)

≪監督・脚本≫
塚本晋也

≪原作≫
大岡昇平

≪キャスト≫
塚本晋也(監督/田村一等兵)、リリー・フランキー(安田)、中村達也(伍長)、森優作(永松)、

≪配給≫
海獣シアター

映画「野火」のあらすじ~ネタバレラスト

はじまり

舞台は、第二次世界大戦中のフィリピン・レイテ島。

敗戦間近で食料も物資も不足する悲惨な状況でした。

そんな中、一等兵の田村(塚本晋也)は肺病を患っていたことから、隊を追い出されます。

行き場を失った田村は、周辺にたむろしている同じような境遇の兵士たちの中に身を寄せるしかありませんでした。

ある日、野戦病院の近くで2人組の兵士と出会います。

中年で足を負傷している安田(リリーフランキー)と、安田に下僕のように従える若い永松(森優作)でした。

永松は、田村が食料の芋を持っていることに気づき、どうにか盗もうと狙います。

そんなある時、野戦病院が攻撃に遭い、田村はまた居場所を失ってしまうのでした…。

 

伍長たちとの出会い

1人さまよい歩いていた田村は、小さな村にある教会の椅子でうたた寝します。

どのくらい経ったのか、目を覚ますと若い男女が教会の中に入ってきました。

田村は、火を手に入れたくて話しかけますが、殺されると勘違いして騒ぎ出した女性を思わず銃で撃ち殺してしまいます。

女性が倒れた床下には麻袋に入った大量の塩が隠してあり、田村は持ち去りました。

 

イモ畑で食料を探していると、伍長・上等兵・一等兵の3人の日本人兵士と出会います。

そこで「パロンポンに行けば日本に帰れる船が出ている」と知らされ、田村の貴重な塩を目的に自分達に同行するよう誘われます。

 

パロンポン行きの地獄(グロあり)

パロンポンに行くには、見晴らしの良い丘を越えなければなりませんでした。

暗くなった夜、たくさんの日本兵たちが丘越えを決行します。

しかし、そんな日本兵を壊滅させようと、敵兵からの攻撃が降り注ぎます。

 

まばゆい閃光…。そして鳴りやまない銃撃音と、体が銃弾に撃ち抜かれ肉が飛び散る音…。

ちぎれた手足、崩壊した顔面、飛び散る脳みそ、はらわた、血しぶき…。

たくさんの日本兵が死体となって折り重なっていきます。

その地獄の中、田村は奇跡的に生き延びました。

 

ただ、田村に待ち受けたのはどうしようもないほどの飢え。

朦朧とさまよう中、負傷して瀕死状態の伍長を見つけます。

伍長は「俺が死んだら、ここ食べていいよ。ハハハ…」と笑いながら自分の腹を指さします。

田村はまさか…と思いつつも、正常な思考を失いかけます。

落ちていた人の足にかぶりつきそうな自分に我に返り、そのまま意識を失ってしまいました。

 

永松と安田との再会

死にかけていた田村を救ったのは、前に会った2人組のうちの永松でした。

田村に水を飲ませ、口の中に「猿の肉」を入れてくれたのです。

安田とも合流し話を聞くと、「猿」を狩り食料として生きているとのこと。

そんな中、安田は田村の手りゅう弾を奪い、永松と田村に向かって投げてきました。

危険を察した永松は逃げますが、田村は手りゅう弾の一片をくらい負傷。

もげた自分の肩の肉を口に入れ、食べたのでした。

 

永松は田村に、自分達を殺そうとした安田を「猿の肉」にしようと持ち掛けます。

田村の同意を得られないまま、永松は安田を銃で撃ち殺し、持っていたナイフで切り刻み、「猿の肉」にかぶりつきました。

田村はその様子に耐えきれなくなり、銃を手に取り、血と肉で口を真っ赤に染めた永松を撃ち殺すのでした。

 

ラスト

田村は気がつくと病院にいました。

そして、無事に日本に戻った田村は、自宅で手記を書いています。

妻が書斎に食事を持ってきた後、しばらくして田村に目をやると、そこには奇異な行動をしながら食事をする姿が見えます。

まるで、食べ物に対して、詫び、祈るような姿です。

田村が窓越しに見る景色には、かつてレイテ島の戦地で見た野火が今も赤々と映っているのでした。

 

映画「野火」の感想

今まで見た中で、一番見続けるのが苦しい戦争映画でした。

戦争映画というとまず銃撃戦を想像しますが、この「野火」にはそれがほとんどありません。

描かれているのは、田村一等兵の身の回りに起こったこと。

そのほとんどは、「飢え」「恐怖」「自分自身との闘い」です。

時折、銃弾が降ってくる時もありますが、この映画での描かれ方は「戦争」ではなく「天災」です。

襲われる側は、何をどうすることもできないのです。

どうあってでも生き残りたい。

これは人間の自然な本能だと思います。

かつての仲間の肉で生き延びる。

倫理面では間違っているとしても、戦争という極限状態における生存本能としては頷けます。

「野火」は映画全てが地獄を描いています。

孤独な地獄、飢えの地獄、仲間が次々と死んでいく地獄。

直視できないほどの地獄が、休むことなく目の前に広がります。

しかしそれよりも辛いと感じるものは、主人公・田村が最後まで「人間」であろうとしていることです。

田村は最後まで、人が持つ倫理的な「禁忌」を侵さず、理性を保とうとしています。

田村が人の肉を口にしたのは2度。

一つは猿の肉だと言われたもの、もう一つは自身の肩の肉でした。

田村は一度も、他人を害して食べ物を得ようとはしていないのです。

 

もし自分が同じ境遇にいたら…。

そう想像してみたとしても、「私は絶対に人の肉は食べない」と思うかもしれません。

誰しも「仲間を殺して食べていい」なんて思わないですよね。

ですが、戦争は人殺しの連続です。日頃の倫理観と大きくかけ離れた世界です。

戦地の兵士に与えられた未来は、餓死するか、虐殺されるかの2択。

このような不条理な現実の中では、理性を失くしてしまった方が幾分ましだっただろうと思います。

戦争とは?

人間とは?

そういった答えの出ない問を、突き付けられるような、そんな映画でした。

 

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さいごに

戦後70年以上が経ち、戦争経験者が少なくなっています。

戦争の真実を伝えられる人がいなくなる。

そのことを危惧した塚本監督が、リアリティを重視して自ら出演しながら完成させた渾身の一作です。

ぜひ観てみてください!

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