映画「ヴェニスの商人」あらすじ~ネタバレと感想

映画「ヴェニスの商人」のあらすじネタバレと感想を紹介します。

名優アル・パチーノ主演、実力派キャストが脇を固めた本格的なシェイクスピア劇。

友情と偏見、愛などといった様々な感情が入り乱れ、喜びと悲しみが共存する人間ドラマは、おすすめ度★★★★★です!

映画「ヴェニスの商人」の作品情報

≪公開≫
2005年(アメリカ、イタリア、ルクセンブルク、イギリス 4国合作)

≪監督・脚本≫
マイケル・ラドフォード

≪原作≫
ウィリアム・シェイクスピア

≪キャスト≫
アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズ、リン・コリンズ

≪配給≫
アートポート、東京テアトル

 

映画「ヴェニスの商人」のあらすじ~ネタバレラスト

1596年、高利貸しを営むシャイロック達ユダヤ人は、キリスト教徒から迫害を受けていた。

一方ベルモントに住む資産家の美女・ポーシャの元には、求婚者が詰めかけていた。

文無しのバッサーニオも、ポーシャに恋をした1人でした。

バッサーニオは軍資金を借りるため、親友のアントーニオの元を訪れます。

しかし、アントーニオの全財産は船の上にあるため、2人はシャイロックに借金を頼みます。

シャイロックは借金の担保として、アントーニオの肉1ポンドを要求します。

アントーニオはその要求を飲み、バッサーニオはポーシャのもとへ旅立ちました。

 

バッサーニオはポーシャへの求婚を成功させ、2人は晴れて夫婦となりました。

ポーシャはアントーニオに「何があろうと外さない」という約束をさせ、指輪を贈ります。

 

幸せいっぱいの2人とその仲間たちに、アントーニオの破産の知らせと、シャイロックが裁判を起こしたという悲報がもたらされました。

ポーシャはバッサーニオに借金の20倍もの金額を持たせ、彼をヴェニスへと送り出しました。

 

裁判はシャイロックの有利に進んでおり、バッサーニオから借金の2倍の金額を提示されますが、アントーニオの肉以外は受け取らないと断ります。

そのとき、若い法学者とその助手が現れ、裁判はこの法学者に任せられることになりました。

そして法学者はシャイロックに、アントーニオの肉を切り取る許可を与えてしまいます。

 

アントーニオの肉が切り取られようとしたそのとき、法学者が発した言葉に、シャイロックは愕然とします。

アントーニオの肉1ポンドを切り取ってもよいが、血の一滴も流してはならないというのです。

シャイロックはキリスト教徒の命を奪おうとした咎めで、全財産の没収・キリスト教への改宗という処罰を受けることになりました。

 

法学者は謝礼として、バッサーニオに指輪を要求します。

最初は拒否していたバッサーニオでしたが、結局法学者にその指輪を渡してしまいます。

ポーシャは指輪をはめていないバッサーニオを責め、戸惑い窮するところで指輪を差し出しました。

実は、バッサーニオから指輪を受け取った法学者と助手は、ポーシャとその侍女がアントーニオを救うために扮していたのでした。

新婚夫婦が幸せに包まれる中、シャイロックは絶望に襲われ、彼の娘もまた、悲しみの表情を浮かべるのでした。

 

映画「ヴェニスの商人」の感想

「シェイクスピア」の名前は有名ですが、実際に観劇したりするには高いハードルがありますよね。

この映画は、そういったシェイクスピア劇に馴染みのない方にも楽しめる作品となっています。

もともと「ヴェニスの商人」は喜劇として書かれた作品です。

確かに、ユダヤ人のシャイロックを「完全悪」とした場合、その当時の価値観からすれば勧善懲悪の物語になるかもしれません。

ただ、映画版「ヴェニスの商人」は、喜劇的な要素よりも「シャイロックの悲劇」の方が強く描かれているように感じました。

愛娘の駆け落ち、財産没収、キリスト教への改宗という重い処罰、シャイロック達ユダヤ人に対する差別の悲しみ…など。

 

作品中盤、シャイロックがアントーニオの友人たちに、「自分(ユダヤ人)とお前たち(キリスト教徒)は同じではないのか」と叫びます。

肌を傷つけたら赤い血が流れるし、心が傷つくことだってある。

それは、人種や宗教関係なく同じであるし、同じ人間である証拠だと。

差別される側の悲しみや憎しみ、くやしさを、体中から発しているような、熱気のこもったアル・パチーノの名演に強く心を揺さぶられます。

 

作中の一番の見せ場は、シャイロックとポーシャ扮する法学者が活躍する裁判シーンです。

シャイロックが要求するものは、お金ではなくアントーニオの肉1ポンド。

アントーニオが破産し、借金を返すことができなくなったため、その担保として契約したものを合法的に(アントーニオが肉を担保とする証文にサインしているため)要求しています。

あくまで合法的なので、裁判はシャイロックの有利に進んでいました。

ポーシャ以外の裁判官たちは、シャイロックの慈悲にすがるしかありませんでした。

「借金を倍にして返す」と言われてもなお、担保としての肉を欲しがる理由は何なのか?

たとえアントーニオの肉を取ることができたとしても、シャイロックには何の得もありません。

 

シャイロックの根本あるのは「憎しみ」でした。

アントーニオは彼につばを吐きかけて侮辱し、アントーニオの友人は彼の娘をさらい、それ以外のキリスト教徒にも差別される。

「憎い」と思うには充分な材料です。

シャイロックの境遇や気持ちを考えると、彼を「悪」だと言い切ることはできません。

何よりも悲しいのは、シャイロックがこういった自分自身の行いを「(利益的な)得にならない」と自覚し、それでもなお感情に引きずられてしまうことです。

頭では理解しているけれども、行動にうつすことができない…。

そんなシャイロックの人間臭さにぜひ目を向けて見てみて欲しいと思います。

 

さいごに

シェイクスピア劇は難しそう、固くて理解できなさそう…なんていうイメージがあるかもしれませんね。

ですが、会話のかけ合いも軽快で、コメディ要素もしっかりとあり、初めての方でも気軽に楽しめる作品です。

アル・パチーノ好きの方にもぜひおすすめします!

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